ミャンマー中部地震、建物・インフラの被害額はGDPの14%相当
(ミャンマー)
調査部アジア大洋州課
2025年05月29日
世界銀行の防災・グローバルファシリティー(GFDRR、注)は5月7日、ミャンマーを3月28日に襲ったマグニチュード7.7の地震(ミャンマー中部地震)の物的被害に関する報告書を公表した。それによると、今回の地震はミャンマー中部の建物やインフラに甚大な被害をもたらし、約1,700万人に影響を及ぼした。4月18日時点で建物・インフラなどの物的被害額は109億7,000万ドルと推計され、これは、2024年度(2024年4月~2025年3月)のミャンマーGDPの14%に相当する規模だ。建物の被害には歴史的建造物なども含まれるが、被害の算定が困難なことなど、不確定な要素を考慮すると、最悪のシナリオで158億2,000万ドルに上る可能性もある。なお、被害推計には生産や収入の減少は考慮されていない。
最も大きな被害を受けたのは住宅で、被害額は49億7,000万ドル(全体の45%)と推計された。次いでインフラの被害が多く、33億6,000万ドル(同31%)、住居以外の建物の被害額は26億3,000万ドル(同24%)だった。道路や橋、ダムなどの主要インフラの損壊は水道や電気、通信などさまざまな基幹サービスに影響を与えた。
地域別では、ミャンマー中部のマンダレー管区、ザガイン管区、バゴー管区の被害が最も大きく、3管区・州に被害の82%が集中した。加えて、マンダレー管区の南に位置する首都ネピドーなども大きな被害を受けた。
報告書では、復旧と復興に要する費用は直接的な被害額を大きく上回るため、戦略的な復興計画が必要だと指摘している。
(注)災害リスクが高い低所得国の自然災害に対する脆弱(ぜいじゃく)性理解と低減、気候変動への適応支援などの活動を行う組織。日本を含むドナー・パートナーが資金を提供しており、世界銀行が運営している。
(アジア大洋州課)
(ミャンマー)
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