米インディアナ州で世界最大級の起業家会議「GEC 2025」開催

(米国)

シカゴ発

2025年06月10日

米国インディアナ州インディアナポリスで2025年6月2~5日、世界最大級の起業家・政策関係者向け国際会議「グローバル・アントレプレナーシップ・コングレス(Global Entrepreneurship Congress 2025、GEC 2025)」が開催された。外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます主催はグローバル・アントレプレナーシップ・ネットワーク(Global Entrepreneurship Network、GEN)。GECは、各国の起業家、投資家、政策立案者、支援機関、研究者らが一堂に会し、起業エコシステムの形成と起業家精神の促進に関する国際的対話と連携を目的とする会議であり、2009年に米カンザスシティで初開催されて以降、ドバイ、リオデジャネイロなど世界各都市で開催されている。米国内での開催は、今回が初回のカンザスシティに次いで2回目となる。前回2024年に開催されたオーストラリア・メルボルン大会には約2,500人が参加したが、今回のGEC 2025にはその約4倍にあたる約1万人が来場したとみられる。

会期中の6月4日に、日本のスタートアップ支援をテーマとした「ジャパン・スタートアップ・エコシステム」セッションが実施され、日本の取り組みに関心を持つ約60人が参加した。プラグ・アンド・プレイ・ジャパンの創設者でスタートアップエコシステム協会の藤本あゆみ代表理事、ケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)インスティテュートの名倉勝代表、同チーフ・イノベーション・オフィサーのビクター・ムラス氏、そしてジェトロ・ニューヨーク事務所でスタートアップ支援を統括する中嶋大騎ディレクターの4人が登壇し、モデレーターはジャパン・イノベーション・ネットワークの西口尚宏代表理事が務めた。

日本のスタートアップエコシステムは過去10年で大きく進展し、スタートアップ数は約2倍の9,000社超、ベンチャーキャピタル(VC)投資額は年50億ドル規模へと成長した。東京以外にも、愛知(製造業)、福岡(アジア志向)、長崎(海洋産業)など、地域特化型の支援が広がっている。日本政府の「スタートアップ育成5か年計画」や、ジェトロや地方自治体による海外展開支援もその後押しとなっている。

本セッションでは、米中西部の企業やクラスターと日本のスタートアップとの連携可能性にも注目が集まった。中嶋ディレクターは「シリコンバレーへの一極集中から脱却し、米国中西部の製造業・アグリテック・医療系企業やクラスターとの連携が進んでいる」と述べ、ジェトロとしてもシカゴやデトロイトなどを拠点とした新たな支援展開を図っているとした。ビクター氏も「中西部は日本のスタートアップにとって、競争環境と産業基盤のバランスが良く、戦略的進出先となり得る」と評価した。

写真 GEC 2025会場の様子(ジェトロ撮影)

GEC 2025会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 「ジャパン・スタートアップ・エコシステム」セッションの様子(ジェトロ撮影)

「ジャパン・スタートアップ・エコシステム」セッションの様子(ジェトロ撮影)

(井上元太)

(米国)

ビジネス短信 8e5a8262203c6154